第2章

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東京組の1人である安曇は、医大の大学院生と厚生労働省の職員を兼務している。そこに至るまでの人事のことは、宇都宮の知るところではないのだが、安曇がただの研究者ではないからこそ選ばれたのだろう。昼間は週1日の医師バイトで生活費を稼ぎながら、基本は薬理学教室で研究活動をしている。 ユキは、経済産業省所属だ。本業は商社の専務付き秘書なのだが、大物を手のひらの上で操る手腕は、昼夜を問わないらしい。秘書になる前には、夜の街で働いていたこともあるようだった。当時から記憶の面で特殊能力を発揮していて、脳内に黒革の手帖を持っていたとか。 ターゲットが夜間積極的に活動するタイプの男性である場合、宇都宮は安曇とユキに任務を振っている。所謂お色気作戦なので、このご時世にはそぐわない手法だ。だが、2人とも嬉々として作戦実行していることが、今夜の会話からも伺い知れる。安曇はゲイなので、ターゲットもゲイかバイを割り振っている。数で言えば、ユキの負担が大きいのだが、昼間の本業の多忙さを加味すれば、この比率でバランスが取れているはずだ。
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