第1章

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スプモーニ、とマスターに告げたユキは、タイトスカートではないものの、足を組んで、安曇の膝に手を置いてみせた。そのまま太腿を、微妙な位置までそっと撫で上げる。流し目をキメる様は、色気溢れ出るお姉さん。ひとつ年下とは思えない。 「いつの時代のドラマよ」 ユキは鼻で笑うと、雑に手を退けた。 「そういう時代じゃなくなっちゃったもんな。セクハラを招きかねない服装はやめましょうって?」 「そんなとこよ。かえって面倒ね」 「使えない技が増えてくな」 「ほんと」 ユキの技に関しては、上司も一目置いているらしい。それをまともに食らっても何の反応もしない、いつもの自分に安心する。 「これ、今回の」 目的を思い出した安曇は、唐突に端末を取り出し、文字のびっしりと詰まったリストを表示させて、ユキに見せた。 「んー5人かぁ」 「いちばん下だけ、俺担だって」 「今繁忙期なんだけどなぁ。ま、やりますけどね」 「1人めっちゃイケメンってさ」 「どれよ」 「わかんない」 「そこ大事よね?モチベ的に」 「いちばん下だったら、ごめんね?」 「……許さない」 クスクス笑い合っているが、これは仕事の話だ。
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