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スプモーニ、とマスターに告げたユキは、タイトスカートではないものの、足を組んで、安曇の膝に手を置いてみせた。そのまま太腿を、微妙な位置までそっと撫で上げる。流し目をキメる様は、色気溢れ出るお姉さん。ひとつ年下とは思えない。
「いつの時代のドラマよ」
ユキは鼻で笑うと、雑に手を退けた。
「そういう時代じゃなくなっちゃったもんな。セクハラを招きかねない服装はやめましょうって?」
「そんなとこよ。かえって面倒ね」
「使えない技が増えてくな」
「ほんと」
ユキの技に関しては、上司も一目置いているらしい。それをまともに食らっても何の反応もしない、いつもの自分に安心する。
「これ、今回の」
目的を思い出した安曇は、唐突に端末を取り出し、文字のびっしりと詰まったリストを表示させて、ユキに見せた。
「んー5人かぁ」
「いちばん下だけ、俺担だって」
「今繁忙期なんだけどなぁ。ま、やりますけどね」
「1人めっちゃイケメンってさ」
「どれよ」
「わかんない」
「そこ大事よね?モチベ的に」
「いちばん下だったら、ごめんね?」
「……許さない」
クスクス笑い合っているが、これは仕事の話だ。
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