朝礼

1/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

朝礼

 八月に入って、朝から汗ばむほどの暑い日が続いているそんなある日の事、私はいつものように八時五分前に出所した。市役所の作業は八時十五分から始まるのだが、その前に一日の作業内容などの打ち合わせのために朝礼をしている。  とはいえ臨職である私の場合は、当日の作業内容が分かれば朝礼の途中でもすぐに作業に取り掛かっていたりする。  お盆を控えているし、今日は市の管理している墓地の清掃や草むしりだろうなと思いながらも、私はまさみさんに本日の作業内容を確認しようと席を立った。そんな私を制したのは課長である高梨さんだった。 「あ、輪田さん席に戻って。今日は大事な話があるから」  大事な話?まさかこんな中途半端な時期に誰かが異動になるとか。いや、流石にそれは無いかな。では一体何を話すんだろう。  所内の八時を知らせるチャイムと同時に、まさみさんが一度席を立つ。 「それでは本日の朝礼を始めます。では、初めに課長の方からお願いします」  それだけ言ってまさみさんが着席すると、課長はゆっくりと立ち上がった。  先ほど私に投げられた言葉もあって、課内の職員もいつもより興味津々と言わんばかりに課長に視線を向けている。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!