朝礼

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 気付くとすでに松葉さんはキーボードをカタカタ鳴らしていた。そして一度手を止め画面を注視すると、体を背もたれに預けながら囁いた。 「これは、すごいですね。答えも完璧だ」  その言葉を皮切りに、皆も一斉にキーを叩き始めた。一通り皆のその作業が終わると、課長はまだ朝礼の途中だぞと苦笑しながらも、私からは以上だと話をしめて着席した。  まさみさんが、他に何かありますかと促したが、誰も口を開かないまま朝礼は終了し、私はいつものようにまさみさんに今日の作業を確認しようと席を立った。  まさみさんの机の前に立って、まさみさんが口を開こうとしたそのタイミングで電話が鳴った。右手のひらを差し出し、ちょっと待ってねという動作をしながらまさみさんが電話に出る。 「はい‥‥‥はい‥‥‥下原町の‥‥‥はい、では」  長くなったら嫌だなと思いながらその様子を伺っていたが、どうやら話の途中で電話を切られたらしい。
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