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活用
まさみさんはゆっくりと受話器を置くと私に向き直った。
「ゆきこさん、今日は墓地の清掃に行って欲しいんだけど、その前に猫の屍骸の回収をお願い出来るかしら」
今さっきの電話はそのことだったのだ。
地図でその場所を確認し出発しようとしたら、横から課長が口を挟んできた。
「輪田さん、何か分からないことがあったら、極力AIを活用するように」
その言い草が、まさみさんに頼りすぎるなと言っているようで、私は少しイラっと来た。別に好きで頼っているわけではない。一介の臨職が勝手に判断しないよう、必要だから連絡しているだけなのだ。
私はその気持ちを悟られないように無言で会釈してからその場を後にした。
余談だが、このAIは優れもので、文字入力での会話だけでなく、口頭で質問しても音声で返してくれる高性能なものだ。まあ、流石に所内でそんな機能を使ったらうるさくてしょうがないから、外出先でしか使えないのだけれど。
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