花冠の王子様

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芽衣(メイ)ちゃん、待ってよ!!」  いつもより一〇分早く家を出たわたしを、あわてて追いかけてくる、隣の家から出てきた人。 「……、おはよ、麻生(マオ)」  無表情のまま振り返り、麻生くんもわかるくらいの大袈裟なため息をついた。 「どうしたの? 芽衣ちゃん、具合悪い? 朝ご飯ちゃんと食べた?」  全く見当違いの心配に更にため息が出る。  鈍感なのか、それとも天然なのか。 「麻生くん、昨日話したよね?」  え? 何だっけ? て首を傾げてるけど、わたしはきちんと説明したはず。  大事なお話だよって、そんでもって麻生くんは、わかったよって天使のような笑顔を浮かべてくれたじゃない。 「え!? 昨日、わかったって、言ってたよね? わかったって言ったなら、何で一緒に登校しなきゃならないの?!」  つまりは、こうだ。
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