起動

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 それから一時間が経った午後九時のことである。  何も俺は喋っていないのに、モースがまた黄色く光った。 【日記を書く時間です、日記をかきましょう】 「日記ぃ?」  突然の案内に、俺はおかしいと思い、アプリの方で繋がってる媒体を調べた。  すると、俺のスマートフォン以外にも、じいちゃんが使っていたと思われる実家のパソコンとも連携していたようだ。  アプリからパソコンとの連携を解除することもできるが、俺は興味本位でモースに問う。 「申すモース、過去の日記を読み上げて」 【かしこまりました、いつの日記を読み上げますか?】 「んー、一月一日!」 【一月一日、晴れ。今年はあの人と初日の出を見てからの初詣に行った。今年もこの関係が続けられますように、と、お願いした】 「……は?」  いきなりの日記内容に面食らった。 あの人、とは、誰だろう? この関係、とは、どんな関係なのだろう?  余計に興味が湧いた俺は、亡くなるまでのじいちゃんの日記を聞こうと、モースに食いつくのであった。
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