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「え……?」
「もう、人間じゃないのよ」
「嘘……。嫌だよ。変なこと言わないで。そんなこと……、そんなことある訳ないじゃん!」
私はとっさに家を飛び出していた。
行くあてもない私は人気のない公園に来ていた。私は公園のベンチに座る。
――どうしよう。飛び出しちゃった。お母さん、傷付いた顔してた。
「愛ちゃん?」
聞き覚えのある声に顔を上げると、お父さんの職場の同僚のお姉さんがいた。私はお父さんの職場の近くに来ていたらしい。
「前原さん」
「どうしたの? こんな所に一人で?」
前原さんは優しく微笑みながら、私に話しかけてくる。
「お父さん、呼んでくる?」
「仕事中だから良いです」
「そう……」
前原さんは少し困ったような顔をしている。
「愛!」
「所長!」
「お父さん!」
お父さんは何やら血相を変えている。
「どうしたの? お父さん、仕事中なのに」
「美緒から連絡があったんだ。愛がいなくなったって。本当のことを話したって」
気付くと前原さんはいない。お父さんは私の横に座った。
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