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頬杖をついて窓の外を見る栗沢さんの表情が――一気に切り替わった。ママの顔をしている。「息子たちは喧嘩ばっかで宿題やんないし忘れ物はするし明日必要なものは言わないし。……何度夜分に近所のドラストやコンビニに駆け込んだか。旦那は、忙しいとか言ってゲームばっかやってて結局そういうとこ見るのわたししかいないし。
墨汁がね？ 必要なら、ちゃんとその日に言えばいいのに。日曜の夜に、あ、お母さん、時間割変わったんだ、とか言って九時に言うのよ？ ……近所の本屋までチャリで飛ばして。本屋が十時まで空いてるのがありがたいようで悲しいような。勿論、ノーメイクのどすっぴんでくったくたのジャージ姿よ。
そして急いで帰ってきたら息子たちは最後のアイスの一本をにいちゃんが食べたとか言って揉めてて。……夫は寝室に籠もって乙ゲーこっそりやってて。……うんざりよ」
知らなかった。栗沢さん……そういう苦労話ってほとんどしないから……飲み会でも、旦那さんのこと、褒めてたな。旦那が午後半取ったから来れたの、って……。
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