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頑なな偏見で自分を守って。それが、一体、なんになろう?
話さなきゃいけない。話さなければならない。篠田課長がわたしを助けようと思ったのは、彼なりの正義感があってのことで。逆に。閉ざされたことで傷ついているかもしれない。……わたしのせいで。
栗沢さんと話した次の日、会議の後に課長に、自分から声をかけた。
「篠田課長。どこかで十分ほど、話すお時間取れませんか?」
いきなり話しかけられた課長は小さく笑い、「なんだ。悪い話と怖い話じゃなければ歓迎さ」
その場ですぐに会議室を予約し、篠田課長と話せることになった。
会議室に入るなりわたしは言った。「あの。……なんだか色々と申し訳ありませんでした。
わたし。課長が、痴漢を捕まえたのは、余計なことだと、内心で頭に来ていて……」
課長は素直に頷いてわたしの言葉を待つ。遮るでも否定するでもなく。真摯な人なんだと、その態度で思い知った。
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