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★00. prologue
「……キスだけじゃイヤ」
聞き違いかと思った。
だが、そうじゃなかった。おれの背中にぴったり腕を回し、自身のやわらかみを押し付けるきみは、
「……わたし。課長になら……抱かれたい、って思うんです。
もっと激しい……キスをして」
おれはきみの髪を撫でて、きみの――宝石のような双眸を覗き込んだ。ありありと激しい感情が宿ってみえる。
「深いのをすると、……止められなくなるけど」
「わたしをこんなにしたのは課長です。……責任、取ってください……」
顔を真っ赤にしたきみが愛おしくて。そっ……と前髪をあげて滑らかな額に、口づけた。
「分かった。……でも」
きみの背を支え、優しく押し倒しながらおれは言った。
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