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「コテーーーィァーーッ!」
竹刀が鞭のようにしなり、相手の手首ど真ん中を捉える。しなった反動で千景の手の中にしっかりと戻ってくる。
ばばば、っと3人の審判の赤い旗が一気に上がる。
千景の背に翻る赤い襷。足元、くるぶし近くまである長い袴が広がるほどの跳躍。
千景のチームメイトが一斉に拍手を送る。
歓声は上げない。剣道では試合中に選手以外が声を出すことはご法度なのだ。
「すげぇ……!!」
2階の観覧席で固唾をのんで試合を見ていた康二も力いっぱい拍手を送る。
その間に両チーム並んで互いに礼。審判にも礼。
千景とその対戦相手は一言二言なにか交わし、一礼して離れた。
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