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明乃がお風呂から上がると、お母さんがテレビを見ていた。一人の男が映っており、上の方のテロップには『超常現象炸裂! この奇跡を見逃すな!!』と太い文字が打ち出されている。
どうやら男はマジシャンらしく先ほどからトランプや大きな箱を使ったマジックを披露しテレビ出演者を驚かせている。それに釣られるようにお母さんも感嘆の声を上げる。
『私がやるのはマジックではありません。超能力です』
男はカメラに向かってビシリと言い放った。途端に拍手が巻き起こる。
「へー、すごいわねぇ。ホントに超能力みたい」
「なに言ってるの、超能力なんてあるわけないじゃん」
「あら、明乃、もうお風呂上がったの?」
「うん」
明乃は現実主義者だ。幽霊、超能力などの不可思議な現象を一切信じていない。人々を魅了するマジックのテクニックはすごいと思っているが、それを超能力だと言われると途端に胡散臭く感じてしまう。明乃はこの世の全ては科学で説明できると思っている。
「まったく、小六にして随分と冷めた子に育っちゃったわね~」
やれやれと口にするお母さんにおやすみを伝え、明乃は自分の部屋に戻る。布団に入ると、ちょうど眠気が襲ってき、あくびを一つすると、明乃は眠りについた。
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