ひめかの推し活

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かなみの言葉にトリもうなずく。 「あいつ、無防備なとこありそうだよな」 「カキタレといるときに眠らないのって今の時代のルールだよね。早見、そこまで考えてるかね。面白くなりそう」  かなみがスマホを自分とトリのあいだに置いた。 「これがおれとかなみの距離か」  トリは少し寂しそうだった。  一方、ひめかは暗い部屋で、ベッドに寝そべりながらカップラーメンをすすっていた。    早見に最後に呼び出された時と同じように。  カップラーメンを食べ終えたひめかは、スマホの画面を見る。  検索欄に「カキタレ」と打ち込んだ。 “芸能人のセックスフレンド”  そう表示されて、スマホの画面に涙が落ちた。 「早見くん、私のことカキタレとか一度も呼ばなかったのに」  涙を手でぬぐった。  目の下にはクマができている。  突然、ひめかはかっと目を見開き、寂しい時に自分だけが見ようと思っていた早見の寝顔を、SNSの投稿欄に載せる。  “彼女にばれた”という早見から届いたLINEのメッセージもスクショして載せた。  そして投稿ボタンを押し、アップした。  今までひめかが経験したことのない勢いで、リツイート数が増えていく。 ―――こうすれば、きっと早見くんは私に連絡をくれる。そして。 「最初はカキタレだったけど、いつか本カノになれる。そうに決まってる」  ひめかの背後にある卓上カレンダーには、「早見くんが出張で東京に来る日♡」と書き込まれていた。
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