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>次のニュースです。
>今月二十日、ブラジル種の多様性保存公園内で、サンパウロ大学二トー・シウバ博士らの調査により、二千年ぶりに新たな人間の集団が発見されました。生物としての人類は長らく絶滅したものと見られており、固有の言語や文化を保持していれば実に一万年ぶりの大発見となります。
>サンパウロ大は、物理的な校舎の遺跡が今も残る歴史と伝統ある大学であり、ネットスフィアのUSコミュニケーションズ・サーバーに拠点を移してからも、物理世界の研究において目覚ましい成果を上げ続けています。
>シウバ博士は九千五百年代に活躍した7つのAIを雛形に、五年前に最新のアーキテクチャで再構築された高機能人工知能です。物理世界での実体はチチカカ湖湖底にあり、専用の核融合炉と水冷システムによって稼働しています。
博士は自然言語用のインターフェイスを持っていませんが、USコミュニケーションズの協力により、にんげんのみなさんの質問に答えられるようアプリケーションを装備しました。
>にんげんのみなさんは、この機会にせんせいに質問してみてくださいね。
>サンパウロ大学では、仮想視覚や仮想触覚をまだ保持しているにんげんのひとたちのために、実際に調査に使われたシウバ博士の肉体をVR空間内に再現展示しています。期間は無期限とされていますが、他にリソースを割くべき状況になれば、予告なく展示を終了することもあります、とのこと。興味のある方はおいそぎください。
>>二千年ぶりの発見とのことですが、にんげんとしての感想はいかがですか?
>>うーん、物理世界のことでしょう。あんまり興味ないんですよねえ。行ったこともないし……
>>シウバ博士の大発見というニュースですが
>>我々にんげんも昔は有機生命体だった、という事実を改めて考えさせられますね。
>それではこれで、いきいきにんげんニュースの時間を終わります。
>>>この番組は、宇宙で唯一の存在だった、知性ある有機体ホモ・サピエンスの言語・思考を再現することを目的に、ネットスフィア上に創設された、にんげん自然公園の提供でお送りしています。にんげん自然公園は、皆様のサポートを常に必要としています。「いいね!」「サブスクライブする」ボタンを押してご支援ください。それでは、また来週の配信でお会いしましょう!
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