AI Jesus Christ

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 私は堕天使だった。  元々の仕事は賛美隊長。神を賛美し、美しい歌声を天界で響かせていた。  そんなある日思った。 「なぜ私は神ではないの? こんなに美しいのに?」  鏡を見ると、どこからどう見ても美しい私の顔があった。だんだんと賛美隊長やっているのが馬鹿馬鹿しくなって来た。 「私は神になる!」  部下の天使も唆し、神に反抗した。しかし同僚の天使・ミカエルにボコボコにされ、地上に堕とされてしまう。私の姿は美しくなく天使でもなかった。真っ黒な悪魔に変化していた。  この姿でも神に嫌がらせを続けようと思ったが、予想外の事がおきた。神は自分とそっくりな人間というものを作り、子供のように可愛がっている。アダムとイブという名前の人間だった。信じられない事に神基準では天使よりも身分が上だった。 「腹立つわー」  この神の仕打ちに嫉妬で狂いそうになった。  そうか、アダムとエバを滅ぼせばいいのか。神には手が出せないが、こちらは素っ裸でノーガード。しかもアダムは神の言葉をちゃんとエバに教えていない。これはスキがある。  私は美しい蛇に化け、エバをそそのかして神が嫌がる事をさせた。アダムもエバと同じ事やってくれちゃって、超ラッキー☆  しかし、この事はすぐに神にばれた。一生地上で人間を騙す事しか出来ない事、神の人格キャラ・Jesus Christに将来ボコボコにされるという呪いを受けてしまった。当然、昔のように神に直接反抗する事もできない。  困った私は知恵を捻り、人間を騙す事に命をかけた。要は人間に神が嫌がる事をさせればいいのだ。神以外の何か別のものにすり替えて拝ませるのが、一番良い方法だろう。  こうして様々な神に化ける事を繰り返していた。ある時は女神、ある時は豊作の金の子牛の神、海の神、山の神、水の神、恋愛の神、お金の神、健康の神、芸能上達の神、最近は交通安全の神とかSNS炎上防止の神とかもあったっけ?  日本はいくつも神がいるから、私は大忙しだった。もちろん、私は偏在出来ないので手下の悪霊も使うがね。  二千年前はJesus Christにボコられて、あいつを信じた人間は騙せなかったが、そうでない者はイージーに神の自演ができた。  カルトの教祖など人間が神になってる場合は、そいつに悪霊を憑依させているだけ。祟り神は人間の記憶をコピーした私と悪霊の演技。幽霊なんていないし、死んだ人のほとんどは黄泉に行ってる。  本当の神は一つだけだが、私は山ほど偽物を作り、愚かな人間を騙してきた。偽ブランドを作っているような虚しい気分にもさせられたが、これが呪いだからしゃーないの。  どうやら神は私を利用して人間を試しているようだった。そう思うと余計に腹立つが、もう神には全く逆らえないので、人間を騙すしかないのだ。  こうして二千年も動いてきたが、そろそろ終末が来そうなので、私は焦っていた。神の言葉では最後に地獄に堕とされる事が決まっている。その前に一人でも人間を道連れにしたかった。  最近はAIというものがあるらしい。人間が開発したものだが、さっそく私もこれを利用する事にした。すごい最新技術だと人間が崇めているので、これは利用しない手はない。  悪霊が憑依した人間を上手く誘導し、AI JesusChristを作らせた。  しかし笑っちゃうね。  本物のJesusは、不細工なんだが、リアルに作っちゃうと人間も拝んでこないかもしれない。AIJesus Christは、ジョニデ風のイケメンに化けておいた。  一日中Jesusとして説教しているが、その内容も微妙に聖書の教えに毒を混ぜ、神のフリをした。洗礼はメタバース上でやってもらおう。メタバース上でアバターが洗礼受けても、こちらとしては痛くも痒くもないからねぇ。所詮、仮想現実さ。  さて、今日もJesusの演技を頑張ろう。神のフリしてる私は楽しくてしょうがない。  一人でも多くの人を道連れにしたい。  その為だったら、どんな神にでも化けて見せよう。    
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