銀と白と金

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銀と白と金

「グラン!」 「大丈夫、私たちは家族で親子だから、ね」  先生がリュシアンの魔力循環にグランの体を循環先として繋げると、グランは表情ひとつ変えずに魔力を流し始めた。  リュシアンの小さな手を握って、グランは微笑んでいた。  もしかして、相性が合ってるとかあるのかと思ったら、グランの掌は物凄い熱さに汗を掻いていた。 「グラン! だ」 「しーっ、シアン。  リュシアンが頑張ってるんだから、父親である私が我が子のために頑張れないわけないだろ?」  相当な苦痛のはずなのに、僕をもう片方の手で抱きしめて、喧嘩は終わりにしようって呟いた。   「うん、ごめん、グラン、ごめんなさい」 「大丈夫、ほらリュシアンの顔色も落ち着いて来た」  呼吸も荒く上下していた胸も、今では静かな寝息に変わっていた。 「うん、もう大丈夫ですよ。  さすがお父様だ。  やはり家族だと、こういう時回復が早くて良いですね」  家族、家族なんだ。 「はい、この子にとってかけがえの無い父親ですから、ありがとうございました」 「シアン、許してくれる?」 「うん、グラン、ごめんね」  寝息をたてるリュシアンを抱きしめるグランを、僕も抱きしめた。 「ひとまず落ち着いたか。  さて、エルモア、御子息の魔力鑑定をさせて頂きたい」  カサルがゲートを使って医者を帰すと、ギルバルディが本命と言わんばかりに、リュシアンの魔力に興味津々と言った表情で告げた。 「ギルバルディ様、リュシアンは銀色の魔力を出しました」 「銀?  その色は今まで無い色だ」  僕が思うに、白の次で金の下が銀色なのでは? と想像した。 「白と金の間では無いかと思っています。  私たち二人の子ですから、間違いないです」  だってグランの白と僕の金の間の子供だから、と。 「まあ、ふふふ、そうね、そうよね」 「うむ、間違いないな」 「私たち大事な家族だものな」  籠に入れられた第三王子は項垂れたまま、ごめんなさい、とか細い声で謝った。 「では、リュシアンを計測板に」  僕が測った時と同じ黒曜石の板状の物だったけど、大分大きくてリュシアンくらいの赤ん坊をそのまま乗せて測るようだった。  すると黒から一気に白まで変化した後、銀色へとゆっくり変化した。 「まさか、金ではないが銀色も存在するのか!?」 「いや、ヤバいやんな。  皇室絶対王者になってもうたやん」  カサルは揶揄う様に言うと、ギルバルディが皇室なら致し方無いと呟いた。 「銀、だと?」  籠の中で第三王子が今更リュシアンの魔力の色に気づいたらしく、よく見たいだのと騒いでいた。 「僕、貴方を許してませんから」 「私も、兄上を許してませんよ」  寝ていたリュシアンが小さく欠伸をして、目を開けるとみんな一様にホッとした顔になった。   「あ、う、ぶ、あーたま」 「うん、リュシアン、父様が循環を引き受けて繋いでくれたんだよ。  リュシアンの体の中にはちゃんと父様の魔力が混じって繋がってる正真正銘の親子だよ」 「うひゃ」  血の繋がりじゃなく、魔力で繋がるなんて、僕ららしくて良いじゃない、ね? 白と金の間~ 本編終了です。 続編あります。
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