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番外編 座談会
「ねぇ、リュシアン。
そろそろ、ちゃんと喋れるよね?」
一歳を迎える頃、僕は子供らしく遊ぶリュシアンに話しかけた。
「大丈夫、グランはお仕事でテオドア兄様の所に行ってるから、帰りは夜だと思うよ」
ゆっくり僕の方を振り向くと、大きく息を吸って吐いた。
「母様は向こうで何年に亡くなったの?」
しっかりした口調で話し始めた。
今まではグランが付かず離れずだったし、何よりリュシアンの滑舌の問題があったから、なかなかこの話ができなかった。
「僕は2019年頃だよ、ただ死んだ時の状況は、分からないんだ。
どうなったのか、目が覚めたのはリュシアンと同じように赤ん坊の頃だったから、かなりの衝撃だったよ。
死んだ頃異世界転生物が凄く流行り始めた時で、オタクだったし読み漁ったから、なんとなく転生したんだって理解した」
「俺は、多分殺されたんだ。
行きつけのゲイバーの帰りに、一度寝ただけの奴が本気になっちゃって、刺されちゃったの」
サラッと凄い事言っちゃってるよ。
「何回も刺されて、刺した本人もその場で自分を刺してたから、同じように転生してたら笑っちゃうな」
「いや、それ無理心中じゃん!!
一緒に転生してたら僕が潰す!」
一歳の幼児となんて話しをしてんだ、って絵面だけど。
「まあまあ、落ち着いて。
向こうも転生したからって、同じ場所とは限らないし、お互い容姿も変わってるし分かんないだろ?」
まだ二十代なのに、なんでこんなに冷静なの!?
僕なんか三十路を超えたおっさんなのに、いつもアワアワしちゃってて、恥ずかし過ぎる!
「この世界で俺はラッキーだったし。
なんて言っても、母様は美人で天然かよってくらい、お人好しで性格も良いし。
血が繋がらなくても、父様は凄い人だしね。
なにより! 同性婚が認められてるし!
ただなぁ、一夫多妻制なのは嫌だな」
「リュシアンって、その、前世ではイケメンで遊び人だったの?」
ドキドキした。
「んー、来るもの拒まず、去るもの追わずかな。
だって一番好きな奴はノンケで嫁さんと子供を大事にする人だったから、片思いを拗らせて誰でも同じだなぁって感じだったからね」
大人だ。
でも、貞操感がちょっと壊れてるけど、裏を返せば一途なんだ、と理解した。
「えっと、さ、その、リュシアンはさ、」
こんなエロ話なのか恋バナなのか分からないのに、リュシアンのポジションが気になってしまった。
「前世でその、たくさん経験あると思うけど、その、さ、」
「まあ、バリタチだったよ。
トップしかやってないな。
母様はボトムだろ?
前世もボトム?」
前世は腐男子の魔法使いです!
「シタコトナイ」
「えー?」
「だって、オタクの三十路超えの腐男子で魔法使いだったもん」
それに不細工だったし。
「母様って、自己評価低過ぎじゃない?
この世界に転生して多少髪色とか目の色違うけど、ベースはそんなに変わらないよ?」
え? リュシアンって前世の日本人でこんなに可愛かったの?
「子供の頃、こんなもんだった。
だから母様も本当はそれが素だったんじゃないかな?」
「いやいや、僕はないよ!
最近は、魔力のお陰か何となく綺麗かなーとは思うけどさ。
それにこっちの世界のお母さんは綺麗だから、向こうとこっちじゃ、全然よ」
一歳の幼児とこんな話してるなんて。
夜にしか帰って来ないと思っていたグランが部屋に入って来た事で、この話はお開きになった。
リュシアンの冷静さが欲しい。
トホホ。
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これ以降の番外編も同人誌の方に入れてあります。
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