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教えてやる?そんなこと可能なのだろうか。確かにこう言われたからには、私の心が未完成だってことはわかる。けれど、直し方なんて当然のように知らない。
「どういうこと?」
私は混乱しながらも声を出す。
「心の中でさ、よーく聞いてみるんだよ。自分が今何を思っているか。そうしてりゃ、いずれ素直になってく」
切夜は強くそう言ってくれた。
いずれ素直になってくとかよくわからなくて私はとりあえず頷いた。
「ということで、これからは恋人同士ってことで」
切夜は明るい口調でそう言い、部屋の奥の本棚へ本を探しに行った。
恋人同士。それもどういうことかわからない。それもそのはず。私は恋愛経験など当然のようにないからだ。淡い恋心が溢れていそうなカップルの姿も、もちろん見たことない。
そう思う度、私は世間知らずだと思い知らされる。
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