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でも切夜のことを心配してくれているのか、自分の行いを悔しく思っているのか、どちらを思ってその言葉を言っているのかが私にはわからなかった。
しばらくして救急車と警察がきた。どうやら近くにいた人が呼んでくれたらしい。救急隊員の三人は切夜の元へタンカーを持って駆け寄り、意識を確認する。
「切夜!」
私も切夜が目を覚ましてくれますようにって祈りながら名前を叫んでいた。
「まだ生きています。すぐ最寄りの病院へ」
救急隊員の一人がそう言ってあとの二人がタンカーに乗せる。
切夜、大丈夫だろうか。助かるかな?できれば救急車に私も乗せてもらいたい。いや、ここは切夜の彼女として一緒に乗るべきだろう。
「あの、私も乗せてください!」
私は切夜が乗ったタンカーを運んでいない救急隊員の一人に思いきって声をかけた。
「えーと、この人の知り合いですか?」
この人とは切夜のことだ。
「はい、彼女です」
彼女としては役目を全然果たせてないけれど、彼女であることには変わりはないと思う。
「では、一緒に」
それから私と切夜を乗せた救急車は最寄りの病院へと向かっていく。その間、私はずっと切夜の手を握っていた。その手はまだ温もりがある。それは切夜がまだ生きようとしている証拠だ。
お願いだから速く着いて、そして切夜を助けて。私はそう心の中で強くただ祈る。その時、
ピーーーー。
切夜の心臓が動いていることを知らせる機械が耳鳴りするような音をたてて止まった。
そこで救急車も止まる。どうやら最寄りの病院に着いたときだったらしい。
「切夜!切夜!」
私はというと切夜の名前を叫んでいた。一緒 に乗っていた救急隊員は悲しい顔で私を見ていた。
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