彼との出会い

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彼との出会いは中二の六月。ポツポツと雨が降る日々が続いてじめじめしていた。こんな日々がつまらないと思っていた、ある日の放課後。 私は図書委員の仕事で図書室にいた。図書委員の仕事は当番制で今日は私の日だった。 「あの、僕と付き合ってくれませんか?」 その少年は突然、私に告白してきた。一体私のどこに惚れたのだろうか。人見知りで内気な性格で、読書が好きで長所や個性といえば何もない。そんな私なのに。彼は私のどこに惹かれたのだろうか。私は訳がわからなくなった。 「どうして………?」 私は珍しく声を出す。 私は元々、あんな性格のせいで家族とはあまり話さない。だから声を出すこともあまりない。何日ぶりだろうか。 「君が好きな理由だなんて、なんでもいいだろ?」 そう少年は軽い口調で言った。 なんでもいい?それは異性の人を好きになれたのなら誰でもいいということだろうか。そう考えると、ダメな人間のような印象がする。けれど、告白されたのは人生で初めてのこと。 一回だけなら青春とか恋とかしてみたい。 ふとそう思った。この思いは突発的なものなのかもしれない。いや、それでもよかった。青春とか恋とか一度は経験しておくといいって前に母も言ってたから。そんなポジティブな言葉が私の頭を巡る。
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