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そう、気軽に名乗る少年の姿は、身長は百五十センチ超えの私より小さくて年下のように見えた。
髪はたっぷりとした癖のない髪型で黒淵のメガネをかけていて、それが知的な人のように感じさせる。
瞳は淡い茶色で鼻筋は真っ直ぐに伸びていて顔立ちもいい。どうみてもクラスの女子からは人気者になりそうな顔だった。
「私の…………名前は、藤野…………説奈」
私はゆっくり自分の名を口にした。
名前の意味は説は小説をたくさん読んで自身の心を成長させてほしい。奈が意味するカリンの花言葉が『可能性がある』とか『優雅』とかって書かれていたから奈をつけたんだそう。そうやって数年前に母が教えてくれた。
「よろしくな、説奈。さっそくだけど一緒に帰ろう」
そう言って切夜は外履用の靴に履き替え、私の前を歩き出す。
私はいきなり切夜から呼び捨てにされて驚いた。普通ならまだ親しい仲ではないって『さん』とか『ちゃん』とか『くん』とか付ける人が多いと思う。そう考えている私からしたら、彼の第一印象は不思議な人となった。
そもそも人見知りで内気な私に話しかけてくるだけでも不思議な人と言って当然だ。
「どうして…………?」
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