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chapter~2~
そこからの日常は精神的にとても私を追い込むものだった。
自分で選んだ方法で自らを追い込んでいると頭で理解する一方で、生活のベースとなるオフが刺々しいという事実は心にじわじわと小さな擦り傷を積み重ねて行く。
私の計画では、刺々しさを表に一切出してはいけない。今日は賢人が休みの日で、私の仕事が終わってから二人揃って彼の実家で夕食を取った。
とても機嫌よく迎えてくれるお義父さんとお義母さんに罪はない。
だけど、小さな擦り傷は重なり合って地味に痛み、頭と心のギャップは捻れ、私の肉叢をチクチクと爪楊枝の先端でつつき始めた。
「里麻ちゃん、大丈夫?あまり進まないようだけど…」
「大丈夫です、すみません。仕事の都合で昼食が3時前になっちゃったので」
「そう。賢人も里麻ちゃんも外に出る仕事だもの、お昼は不規則になるわよね。今日はどんなお仕事をしたの?」
お義母さんはいつ会っても、アパレルバイヤーという私の仕事に興味津々だ。
「今日はそのランチまで店舗ラウンド…店舗回りをしたんです。店頭に入っている商品の反応が気になりますし、各店にどんなお客さんが来店して、どんな商品を手に取ってくれているか。今お客さんはどんなものが欲しいか…そんなことを考える時間です。スタッフにもヒアリングしてから遅いお昼を食べて…」
本当はスタッフと一緒に12時頃に食べたけど…今、食欲がないからごめんなさい、お義母さん。
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