chapter~2~

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「里麻がクリームパンを買っておいてくれたの、助かったよ」 「そっか、良かった」 私がスーパーで100円もしないクリームパンを買って来ておいたのを、営業の途中に助かると、今朝賢人が持って行っていたのだ。 「あ、賢人。そのあんドーナツ、美味しそうだけど朝食には体に良くないんじゃない?」 真夜中に食べてくれてもいいけれど、よき妻を演じる。 「それを明日はお仕事に持って行って、朝はこっちのロールパンの方がヘルシーだよ。オレンジジュースにもこっちが合うでしょ?」 「そうだな。ありがとう、里麻」 いいえ、どういたしまして。そのロールパンにはマーガリンが注入されているのよ。アメリカなどではずっと禁止されているトランス脂肪酸が含まれた代表的な食べ物、マーガリンがね。 そして今夜も賢人は先にお風呂に入らない。この1ヶ月、毎晩私が先にお風呂に入るのだ。 「疲れてるみたいだけど…マッサージする?」 「…賢人、マッサージなんて出来るの?」 「最近動画で勉強した」 「どんな動画…?」 「いかがわしいのじゃないよ。ちゃんと首から上を揉みほぐすヘッドマッサージ」 バスタオルを巻いただけの私に、賢人が慌てて自分のスマホで動画を見せる。
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