chapter~2~

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私は今、ストレス発散や憂さ晴らしなんていう陳腐で容易な言葉とはかけ離れた行動の真っ最中なのよ。賢人を翻弄して振り回したいとも全く思わない。 アナタの心身トモニ、ダメージを負わせて、浮気したことも結婚したことも後悔させたいワケ。分かる? 浅いところでよくある泥沼を演じるだけなら、戸籍まで傷つけないわよ。今、賢人が結婚生活の継続を願っていることで彼の傷を大きく出来ると確信した。 この墓場まで持って行く気持ちに、アナタが気づくはずはないでしょうけれど。 「まだ先のことを話せるほど…日は経っていないのよ。私ははっきりと…あの調査写真の尾田さんの顔を思い出せるもの」 膝の上でグッと手を握った賢人の前まで行くと、そっと肩に手を添えて立ち上がらせた。すると同じように私の肩に触れようとしたのか、賢人が手を動かす気配に大きく一歩後退する。言ってるでしょ?賢人から私に触れていいほど日は経っていないの。 「彼女のことは顔だけでなく…尾田環25歳。164センチ、54キロ。そう言えば…彼女の誕生日は今月ね」 「いや、ごめん…里麻。誕生日なんて…前に言ったように…付き合っていたわけではないんだ」 「確かに賢人はそう言ってたわ。付き合っていたわけではない、三度食事してホテルへ行った関係だって。同じ販売店のままで居心地悪くないのかしらね。大丈夫?彼女がいくらグラマラスなメリハリボディの美女だからって、誘惑されないでよ?おやすみ」
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