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「ふーん…里麻ちゃん、暴走してるのか?で、痩せた?」
「翠さん、アラサーの女が20代のふっくらさを失いつつあるってだけです」
「でも、2年前と違って薬指にマリッジリングがあって、でも勢いがなくて…朔、里麻ちゃん重症?」
翠さんと翼さんに並んでゆっくりとチェスターコートを脱いだ朔は
「里麻、ここ?奥、借りる?」
翠さんには答えず私に低く聞く。
「別にどちらでもいい。あまり時間はないから」
私はそう応えながらバッグに手を入れてスマホを手にすると
‘賢人と同じくらいの時間にはなりそう。ごめんね’
と賢人にメッセージを入れた。これで夕食は適当にしてくれるだろう。
「翠さん、翼さん。俺、カウンターの中にいていい?今は里麻を抱きしめてもやれないし、隣にも座れないから」
「いいぞ。里麻ちゃんのオーダーは朔な」
「ありがとう、翠さん」
「ここってことは、翠と僕が聞いてもいいの?聞いたら口を挟むことになるよ?他のお客さんのにはノータッチだけれど、朔だからね」
「しかも朔はカウンターの中でバイト」
翼さん、翠さんと続いたところで私は息を吐いた。
「お二人は今夜も息ぴったりですね。どこだって朔の尋問に対する私の答えは変わりません」
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