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「ちょっと保険をかけておきたいだけ…里麻はそう言って俺にあれを預けた。最初から予想出来た範囲のこととも言えるな?」
そうだ…データを削除される危険は最初から感じていたんだ。
「思いもよらない手段に出られたから怖かった…」
「出るぞ。ケガ、温め過ぎても良くないだろ」
朔は私を抱えて一緒にバスルームを出ると、バスタオルでポンポン…私を拭きながら
「何された?」
と聞く。私は賢人の行動を、金沢クンとユウちゃんの行動も含めて説明した。
「まずは…一人でなくて良かった。吹っ飛んだのが里麻でなくて良かった…おかえり、里麻」
新しいバスタオルを私に持たせた彼は、チュッと唇にキスすると
「あのデータが重要なものってことだな?」
私を子どものように抱き上げて歩く。
「そう…慰謝料の増減に関係する証拠だから。明日、久慈先生に届ける。先にスマホって言われた。あ、その前に起きた時に首とか痛くないか確かめてとも言われた…仕事は休めって言われた…これで全部かな…」
「明日、全部に付き合ってやるからな。里麻は一人ぼっちじゃない。大丈夫だ」
「カフェは?」
「臨時休業。優先すべきものが…俺のところまで頑張って歩いて来てくれたんだ。離さない」
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