uno

11/20
前へ
/123ページ
次へ
「大丈夫?」 「……?」 「顔、赤くない?」 あ、すっぴんだからバレテるって… 「いや…うん…はい…大丈夫で…す…」 「そう?プレゼントは生パスタ」 「生パスタ?意外です…デザートの予想していたんですけど…あ、生パスタは大歓迎ですっ。自分では買わないから…」 「日持ちの問題があるからね。はい、フェットチーネ。今日打ったから今日か明日、3分10秒から3分35秒茹でて、そのサルシッチャとレンズ豆のクリームソースと食べてくれるのがイチオシ」 フレッシュなパスタは冷凍品と別にしてあったのか。 「今からいただきます。楽しみです」 「また感想は聞かせてくれると嬉しい。これ渡しておく」 彼はパンツのポケットから財布を出して‘Trattoria sorriso’ショップカードを1枚抜き取ると、手のひらサイズのペンを持って何かを書く。 「はい」 「…どうも…中尾琉聖(なかおりゅうせい)…さんで合ってますか?」 「はい。じゃあ、上手に茹でて美味しく食べてもらえるように願ってます。ありがとうございました」 中尾さんはペコリと腰を折って、さっとドアを開けると消えた…タオル…首に掛けたままだよ…几帳面な字で書かれた中尾琉聖という漢字4文字と11桁の数字を見ながら、まあいいかと鍵を掛ける。よっしゃ、食べよ。
/123ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4074人が本棚に入れています
本棚に追加