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「大丈夫?」
「……?」
「顔、赤くない?」
あ、すっぴんだからバレテるって…
「いや…うん…はい…大丈夫で…す…」
「そう?プレゼントは生パスタ」
「生パスタ?意外です…デザートの予想していたんですけど…あ、生パスタは大歓迎ですっ。自分では買わないから…」
「日持ちの問題があるからね。はい、フェットチーネ。今日打ったから今日か明日、3分10秒から3分35秒茹でて、そのサルシッチャとレンズ豆のクリームソースと食べてくれるのがイチオシ」
フレッシュなパスタは冷凍品と別にしてあったのか。
「今からいただきます。楽しみです」
「また感想は聞かせてくれると嬉しい。これ渡しておく」
彼はパンツのポケットから財布を出して‘Trattoria sorriso’ショップカードを1枚抜き取ると、手のひらサイズのペンを持って何かを書く。
「はい」
「…どうも…中尾琉聖…さんで合ってますか?」
「はい。じゃあ、上手に茹でて美味しく食べてもらえるように願ってます。ありがとうございました」
中尾さんはペコリと腰を折って、さっとドアを開けると消えた…タオル…首に掛けたままだよ…几帳面な字で書かれた中尾琉聖という漢字4文字と11桁の数字を見ながら、まあいいかと鍵を掛ける。よっしゃ、食べよ。
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