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パスタソースを温めながら、しっとりとしたフェットチーネを茹でる。もちろんスマホでタイマーを3分10秒にセットして、もたついても35秒までに引き上げオーケーの予定だ。 今日一番の真剣さでフェットチーネを茹でると、サルシッチャとレンズ豆のクリームソースを掛ける。 「わぁ…ソースたっぷり」 急いで冷蔵庫から187ml缶の白ワインを出してグラスに注ぎ 「ごちそう、いただきます」 と手を合わせて、まず端っこであまりソースにまみれていないフェットチーネを一本引っ張り口にする。 「うん…ふふっ、おいし」 それからしっかりとソースに絡めて… 「ウフフフ…ぐふっ…笑いが止まらない美味しさ…」 と一人で足をバタバタさせてグラスを持つと、ワインがスペイン産だと思い出した。そこで笑いが止まったが、食べる手は止まらない。 この美味しさは他のものにも期待が出来る。大当たりだな。 お皿の真ん中が見え始めると、食べるスピードを落として名残惜しそうにチビチビと食べる。そして、中尾さんが帰る時にはほとんど雨が止んでいて良かったと思いながら、パソコンをオンにした。テレビがないこの部屋だけどパソコンがあれば十分だ。明日は12時から19時閉店後の締めまでベーカリー。天気予報を流しながら、ゆっくりと最後の一口をモグモグと…しつこくモグモグとした。
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