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「また夕方降ったけど、帰りは大丈夫そうですね」
輪島クンがそう言いながらレジに戻って来た時、自動ドアが開く。
「「いらっしゃいませ」」
よし、こっちのレジはこれでオーケー。
「すみません。この食パンは1斤にしていただける?」
「はい、スライスしましょうか?」
「5枚切りでお願い」
「はい。お待ちください」
私はすぐに手を消毒して手袋をつけて、1本で残っていた食パンを5枚切りスライスにする。それを輪島クンが1斤用の袋に入れてからレジをする。
「「ありがとうございました」」
そのあと
「店長、食パン2斤分残りを輪島クンにスライスしてもらっていいですか?」
と事務所の店長に確認する。
「いいよ。持って帰ってもいいし」
「やった。いただきます」
基本的に残りのパンは持ち帰らないルールだけれど、各種食パンは持って帰れる。だから定期的な遅番も嬉しいのだ。
「輪島クン、食パンスライス練習どうぞ。持って帰るならご希望の厚さで1斤ね。私は5枚切りでもらうから」
「俺は4枚で」
「じゃあ、最後まで均等に頑張って」
「もう出来るはず…」
「だよね」
完全に冷めていてもあまりうまくスライサーが使えない輪島クンに任せて、自動ドアを切って表の電気を消す。
「ここまではオーケー…」
180センチオーバーの彼が食パンを見つめて呟くのは可愛い。
「輪島クン、可愛いんだから、彼女に告白してから真っ向勝負でデートに誘えばいいんじゃない?」
「ぅわぁあっ…っ…真ん中凹んだ…メグさんのせい…」
「はっ?私?」
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