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私は自分のアパートから徒歩10分のベーカリーで働いて5年。 正社員ではないけれど、勤務歴が長いから学生アルバイトが来た時には結構な頻度で業務を教えるように店長に言われる。 2ヶ月前に採用になった輪島クンもそのパターンで、一緒に仕事をして一緒に休憩を取るうちに 「好きな子って…どうやって誘えばいいんですかね?」 と聞かれた。 「……」 「メグさん?」 「あ…ごめん…想定外の質問に弱いから」 そう言いながら牛乳パックのストローを吸い上げて…ズッ…パックを斜めにして…ズッ、ズッ…一人ならもっと一気に吸うんだけれど、遠慮がちに吸ってから 「大学の女の子をデートに誘いたいってこと?」 同じパイプ椅子に座っているはずなのに、見上げそうな長身の輪島クンに聞く。 「はい、綺麗なだけでなくって優しい子を見つけてしまったんで」 見つけてしまったという言い方が何だかツボで、協力せねばという気になる。 「普通に‘遊びに行こ’ってメッセージ送ればいいんじゃないの?」 「連絡先を知らない」 「…まずそこだよね?」 「さすがメグさん。連絡先かぁ…いきなり‘教えて’はおかしいよなぁ…」 それだけで‘さすが’をいただきました…輪島クン、頑張れ。
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