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異次元レベルのイケメンの言う通りティラミスを冷蔵庫に入れると、着替える時間はないけれど不快な靴下を脱いでサンダルを履いて1階に降りる。
すでにエンジンのかかっている車の中から中尾さんが‘おいで、おいで’と手招きをするけど…車のシート、大丈夫かな?自家用車は大丈夫なはずだけど、真新しいシートの匂いだったらダメだ…マスクする?不自然だよね…困った。
この問題にいつも直面する私は当然出不精なわけで、以前付き合っていた彼にも‘デートをこれほど断られるとさすがに付き合ってられない’と言われた。
「どうかした?俺、警戒されてるかな?」
「そこまで…考えが及んでいない。それ以前の問題が…」
車を降りて来た彼が私を遠慮がちに覗き込む。
「問題?教えてくれる?」
「車…新しい?」
「新しくないな。5年は乗ってる。どうして?」
「だったら多分大丈夫です…乗り物のシートの匂いが苦手で酔うので…」
「そっか、そっか。顔突っ込んで確かめてみる?」
「はい」
何ともおかしなやり取りだろうけど、彼は嫌な顔をせずに車のドアを開けて
「どうぞ、クンクンして。メグちゃんは臭覚が敏感なのかな?美味しいものを感じるにも大切な感覚だよな」
と肯定的な言葉をくれる。私は遠慮なくシートに手をついて上半身を車内に入れると‘クンクン…スーッ…’と嗅ぎ…キャッ…後ろから中尾さんも私に覆い被さり‘クンクン…スー’と真似をした。
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