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「メグ、おかえり。早いな」
「おはよ。ここ、ハル兄だけ?」
「俺はここで植え付けしてるんだけど、あとは隣と小屋」
「お父さんは?」
「隣」
「じゃあ、隣に行く」
ハル兄は春樹という2つ上の兄で、その2つ上が夏樹。
「ナツ兄、お父さん、おはよ。ただいま」
「おかえり、元気か?」
「うん」
父が業務用花ばさみを持つ手を止めて私を見る。
「元気だよ。私は何から?」
「パートさんが小屋で出荷準備をしてる。そこか、これ。どっちがいい?」
「とりあえず、こっち」
「よし、これ使って」
「うん」
「メグ、免許証は持って来てるのか?」
「うん」
同じく業務用花ばさみを持ったナツ兄が聞く。
「1時間後くらいに直売所までパートさんを乗せて一緒に行ってくれたら助かる」
「いいよ。時間になったら言って」
私はすぐに、父が切っていた白のトルコキキョウの収穫の続きを始める。業務用花ばさみは屈む必要がなく、軽い力でサクッと切れる優れものだ。ナツ兄はピンクのトルコキキョウを切っている。
「ナツ兄は休み取った?」
「一昨日休んだ。ちゃんと順番に休んでる」
「そっか」
1時間、手と口を動かし続け、軽バンにバケツを積み込めたとパートさんが呼びに来たので私が運転して二人で直売所へ行き、バケツごと売り場へ運び入れて帰って来る。
直売所の花はビニールを巻く作業が大変だけど、このあとは箱詰め作業。私は1日中、植え付け以外の作業は何でもやる。どれも好きな作業だ。
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