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ピコン…
‘何を収穫?’
‘トルコキキョウ、スターチス、ひまわり’
‘複数なんだ’
‘少量多品種で栽培している農家なんで年中複数ですね’
‘もう帰ってる?’
‘実家にお泊まり’
‘明日、休み?’
‘はい。友達と会います’
‘いいね。こっちに戻ったらメッセージ入れて欲しい’
‘わかりました。お店営業日ですよね?’
‘そう’
‘たぶん午後イチくらいの混んでない電車で帰ります。おやすみなさい’
‘おやすみ、メグ’
ピコン、ピコンとテンポよくやり取りして終了。昨日も今日も‘おやすみ’って、カレカノじゃない?クゥン…枕を抱えて、どうなっているんだろうと目を閉じると…働き続けた体はそのまま朝まで動かなかった。
翌朝は朝から和食の朝ごはんを食べて、小屋で昨日の作業中に折れたり、葉っぱが取れたトルコキキョウを短く整えビニールを巻くと小百合の家に行く。白、ピンクに加えて、白とパープルのバイカラー品種も束ねたから結構なボリュームだ。
「小百合…聞いてはいたけど重そうだね。体調は?」
「重くてしんどいのは普通なら仕方ないな、って感じ。暑くなってきたから早く出てきて欲しいな」
「もう少しだよね。頑張って」
「うん。生まれたら見に来て」
「実家にこれでちょくちょく来るから、絶対に会えるよ」
トルコキキョウを指差して言うと
「もう何年もメグの生活ペースは変わらないね。変えたいとは思わない?」
小百合が私の顔をじっと見た。
「合ってるのかな…自分から変えたいとは思ったことないなぁ」
「そっかぁ。いつか知らず知らず変わってるとか、そんな風になるのかな…」
言いたいことはよく分からなかったけれど、ずっと今のままってことはないんだと…そういうことかな…
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