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その唇は、唇のシワとシワを馴染ませる作業のようにしっかりと重なったまま小さく動く。そして私の下唇のギリギリ下で彼の親指がそっと動く…どこに集中すればいいのか…
ほんの一瞬、客観的に絵面を思い描いて、上半身裸のイケメンが濡れたキャミソールの女を顎クイキス…
じゅわぁ…溶ける…蕩ける…
ぴーっぴーっぴーっぴーっぴーっ…
チュッ…リップ音を鳴らして唇を離した琉聖さんが
「何の音?」
と聞きながら私の唇を親指でなぞる。
「…炊飯器」
「ああ、そのいい匂いもしてる。何か食材ある?俺が作るからその間に服を乾かしていい?」
「うん…どうぞ」
「押し掛けて悪い…最初がこんなので格好つかないけど、今度埋め合わせする」
彼は私の頭をポンポンとしてからチュッ…キスをして靴を脱いだ。
「あ、靴下も濡れてる」
「…全部洗濯乾燥する?着替え…ペラペラのTシャツと短パンならあるよ」
「ちょっと待って、メグ」
「ごめんなさい…ペラペラのは嫌だよね」
「じゃなくって、着替えって男の?」
「ああ…洗濯はしてても…人のは嫌だよね」
「じゃなくって、どうして着替えがある?」
「ハル兄かナツ兄がずっと前に置いたから…お兄ちゃんの」
「メグ」
なぜだか琉聖さんは私をぎゅうぎゅうと抱きしめて
「兄ちゃんのなら借りる」
そう言ってパクッと私の耳を食べた。
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