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早番の日は6時10分にアパートを出る。6時20分にベーカリーへ到着してから着替えをして6時半から仕事を始める。
6月初めの今はすでに十分明るいし気温も快適な通勤の上に、着替えも楽な服装の時期だ。
私は乗り物のシートのニオイが苦手で酔う。普通の家庭の車はいいけれど、タクシーとか電車、バスは苦手。どうしても乗らないといけない時はあるので、その時にはマスク用の香るアロマシールをマスクに貼って‘いざっ’と出陣する。
大学まで自転車で通える今のアパートに入居してから、いろいろとチャレンジした結果、徒歩10分のベーカリーに落ち着いた。もちろんパンは大好きだ。
うちのベーカリーでは、製造さんは3時から働いている。
「おはようございます」
製造さんがどんどんと表に出している焼きたてパンの香りが店内に充満していることに満足して、私は調理パンを並べ始めた。
「メグちゃん、これが父の日までの限定パン」
「了解です。先日用意したポップを付けますね」
フレッシュバジルとイベリコ豚ベーコンを入れたジェノベーゼ風のおつまみパンは今日から父の日までの限定販売。試作を食べた時には、皆がワインを欲しくなった出来るヤツだ。
売れてちょうだい。美味しくいただかれてちょうだい。
と念じながら真新しいポップを付ける。7時の開店までに自分がいい香りを纏っているかのようになれる早番は好きだ。
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