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言えることからか…彼は‘すぐに聞いてやれなくてごめんな’と言ったけれど、すぐには言えなかったかもしれない。泣いていたからではなく、琉聖さんの反応が怖かったから。
でも‘すぐ’じゃなくなる間の彼の手と言葉と体温が‘大丈夫だ’って思わせてくれたから、今なら全部言えると思った。
「全部言える…けど…怒らないで…」
全部言えると思ったのに、弱々しい声が付け加えられて自分でショボッ…と思う。
「俺が怒ると思ってる?」
「思わない…」
「それでいい。メグのその感覚と俺を信じて」
「うん…最初から全部…ちゃんと言う…できるコだし…」
「だな、知ってる」
髪を撫でていた手で頭をグリグリと撫でた彼のシャツのボタンを見て、私は口を開いた。
「ベーカリーの裏で輪島クンが私を待ってたの…」
「輪島ってサル?」
「…琉聖さん命名の…サルだね」
「メグが仕事を終えて裏から出たら、サルが待ってた?サルはバイトがなかったのにってことか?」
「うん。で、告白っていうのをされた…何かおかしいんだよね…」
「どこがおかしいと思った?」
「うーん…好きな子へのアプローチを相談されていて、相談するうちに好きになったって言われたけど…その子に告白の言葉とかが全然響かなかったみたいで‘誰かのセリフなのかな’と言われたんだって。それで私に相談に乗ってもらってたって白状したら…‘その人のこと嬉しそうに話すんだねって’って言われて自分の気持ちがスッキリくっきりしたって輪島クンが言ったの…それって…ドキドキとかしてないのに好きってある?あるのかな…どちらにしても、私はお断り一択だからちゃんと伝えたんだよ…ちゃんと…」
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