幽霊は別たれる

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優しい彼氏さんの涙をはじめて見ました。 彼氏さんが顔をあげた時、私も涙がこぼれそうでした。 それでも伝えたいことがあるのです。 「彼氏さん、私を待っていてもらえませんか?」 「私はまだ7年くらい体ができないと思います。」 「先に体をもらって、また世界を教えてください。」 「彼氏さんが向こうの世界にたどり着くまでの200年、その間に私もかならずおいかけます。」 「わたしも、かれしさんも、さびしいけど、でも、」 彼氏さんは私をぎゅっと包み込んでくれました。 彼氏さんの腕の中で少しこわばってしまいました。 彼氏さんがこんなにも震えていたのですから。 「彼女さん。」 「僕は間違っていた。」 「あなたを泣かせてしまった。」 「こんなこと、あなたに言わせるべきではなかったのに…………。」 「彼女さん。」 「200年後に向こうの世界で会いましょう。」 「必ず、僕が、あなたを」 爽やかな風が頬を撫でたとき、 彼氏さんの姿はもうありませんでした。 きっと風にさらわれたのでしょう。 私の涙もさらわれていきました。 「待っててください、彼氏さん。」 必ず、私が、あなたを見つけます。
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