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目を丸くした僕を見て、述岡さんは、やっぱり、と言わんばかりに口角を上げていた。
「若い作家さんにはよく見られることですが、ご自身のアバターが目の前にいるようになると、やや無茶な展開が多くなるんです。ご自身ではなかなか気がつかないんですけどね……」
拙作くんの存在は、僕の創作意欲を搔き立てた。
それはなぜだ?
拙作くんがいるからと言って、アバターが現れたからと言って、いい作品になることが保証されているわけじゃない。
それなのになぜ、僕は嬉々として創作に臨んだ?
「綴!」
思い起こされるのは、にこにこして僕にまとわりつく拙作くんの姿。
「かっこいいね! わくわくする!」
「ボク、綴の書く話、大好き!」
「次はどうなるの!?」
「アバターは、作品の内容によって、その姿を変えますからね。言い方はあれですが、所謂着せ替え人形みたいなものです。アバターの反応だけを楽しんで、客観的に作品が見られなくなるんです。残念ながらあなたの作品には、その兆候が見られる」
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