2.AIみたいに賢い女

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2.AIみたいに賢い女

「ハロー、ムーグル。爽やかな朝にぴったりの音楽を流してくれる?」  私が朝食を用意していると、悟が起きて来てAIスピーカーにそうオーダーをした。 「AIは良いよな。いつも的確な判断をしてくれる。なぁ、愛。君もAIみたいに賢い女で居てくれよな?」  AIみたいな賢い女って何よ……。そう私は思ったが口には出さなかった。悟は二十八歳で私は二十六歳だけど、悟はどこか昭和のおじさんみたいな価値観を持っている人間で、女は男の半歩後ろを歩いて、男の理想であり続ける事を私に求めていた。 「だってさ、愛はローマ字で書くとAIだろ。名実ともにAIみたくなれるじゃないか」  何よそのダジャレ的思考……。私は機械じゃないと言いたかったけど、グッと堪えた。だって、悟は一流企業のエリートで、結婚相手としては申し分ないもの。このチャンスを逃したら、私は婚期を逃してしまうかもしれない。
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