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4.私が悪いのよ
「何だこのコンビニの惣菜は! こんなもの食えるわけないだろう!」
ある日、決算期の残業で私は疲れ果てていて、コンビニのお惣菜を食卓に出した。そうしたら、悟は顔を真っ赤にして私を罵倒した。
「疲れて帰宅したら食卓にコンビニの惣菜だと!? こんな食事じゃ力が出ないし身体にも悪影響があるだろう! 愛、お前はそこら辺の愚かなバカ女と同じなのか!? おい、ハロー、ムーグル! 食品添加物が身体に与える悪影響を教えてくれ!」
『はい、食品添加物は身体にとって……』
私は延々とAIスピーカーが説く食品添加物の身体への悪影響を聞かされた。
「ごめんなさい……今からすぐにきちんとした食事を作るから……」
私は平身低頭謝って食事を作り直すしかなかった。私だって残業で疲れているのに、たまのお惣菜すら許されないの? 今からこんなで、結婚したら私達の生活はどうなるの? 本当にこのまま結婚して良いの?
私の頭には悟との別れも過ったが、頭をぶんぶん振り回してその考えを否定した。だって、私の倍は稼ぐ悟との結婚は、将来を考えたらきっとプラスになるのよ。そうよ、お惣菜を出すような怠惰な私が悪いのよ。悟は人一倍身体に気を遣う人間なんだから、そこら辺も良く考えるべきだったんだわ。そうよ、私が悪いのよ、私が……。
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