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5.決別
「愛、すぐにこっちに帰って来なさい。おばあちゃんが倒れたのよ」
ある夜、群馬の実家から連絡があった。祖母が心臓発作で倒れたというのだ。
「えっ!? おばあちゃんは……えぇ、A病院に入院したのね。分かったわ。すぐに帰るから」
私は電話を切ると、すぐに悟に事情を説明した。
「……だから、おばあちゃんが危険な状態なの。しばらく実家に帰るから!」
そう言うと、悟は怪訝な顔をしてこう言い放った。
「その間俺の食事はどうすればいいんだ?」
は? 私は耳を疑った。
「食事って……? そんなの……外食とかで……」
「マジかよ。おい、ハロー、ムーグル! 外食が身体に与えるリスクを教えてくれ!」
「!!!」
その瞬間、私の中で何かが切れた。
「何よ……何なのよ……私の祖母の命より自分の食事が大切ってわけ? そんなの、外食が嫌なら大好きなAIスピーカーにレシピを聞いて作ったらいいでしょう!? 私はね、あんたの家政婦じゃないのよ! それに、AIでも無いから傷付くし腹が立つ事だってあるのよ!」
「何をそんなに興奮してるんだ? もっと冷静になれ、賢くなれ、愛……」
「うるさい! あんたなんてどうなろうと知らないわよ! このモラハラ最低クズ野郎! あんたなんてAIと結婚すればいいのよ! 婚約は破棄よ! さようなら、バカ野郎!」
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