歌う天女像

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歌う天女像

 物の化け物で物の怪だ。  その天女像は元々小さな村の神社にいた。  何かにしろと、力はあるが女だから評価されなかった陰陽師の娘の所にその像は来た。その娘はひみつと名乗っていた。  天女様になんか霊がくっついていた。 「私は盲僧でした」  霊は語りだす。 「盲僧なので目が見えません。ふらふらと彷徨っていたら偶然天女様のいるお堂にたどり着いて天女様のお側にいたのです」 「なんで死んだんだい」 「燃やされた」  盲僧がそう言うとひみつの体が燃えたように熱くなる。天女様が微笑んでいる。 「熱いでしょうつらいでしょう」 「お前さんは悪さをするのかい?」  ひみつが睨むと体は元に戻った。 「盲僧なら歌えるよね?」 「ええ歌えます」 「それならこの天女様の中に入るのはどうだろう?」  盲僧は喜んで天女様に入った。  盲僧の入った歌う天女様は評判となった。声は見た目と違い野太いが、まあそんなものだろうと受け入れられた。  ある日、一人の若者が天女様を拝んだ。  天女は歌う。  赤い赤い炎が私を包む  お前の火が私を包む  お前だ  お前だお前だお前だお前だ  天女様が叫ぶ。  若者の体が勢いよく燃える。  天女様は灰になっていた。    
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