ナプキンから始まる出会い

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ナプキンから始まる出会い

駅のトイレ ワタシは、いつもここを利用する。 駅から出たら、しばらくトイレが見つからないため。 それと、気を休めるため。 トイレに入ったら、まず、息を吐く。 全ての感情をその一息にのせて、すべて吐き出す。 そうすれば、少しは落ち着くから。 出ようとしたとき、隣から声が聞こえた。 「あの、ナプキンある?」 「えっ?」 ワタシは、隣の壁を見た。 「急に、生理来ちゃったみたいで…。」 困っている様子の声がした。 「そう…。」 鞄を広げ、虹色のキャンバスでできたポーチを見つける。 「はい。」 トイレの壁の隙間が空いている所の下から、新しい『ソレ』を渡した。 「ありがとう。」 さっと、『ソレ』を奪う。 「いいえ。」 そう、ひとこと言って、ワタシはトイレから出た。 手を洗っていると、さっき、『ソレ』を渡した人が出てきた。 「ありがとうございました。」 「本当に、急に来ちゃって、あの…助かりました。」 ニッコリと微笑んでお礼を言っていた。 「あの…お礼を…」 言葉を遮るように 「ナプキンくらい常に持ってなさいよ。」 冷たく言い去ってしまった。 ワタシは、さっと、駅のトイレから足早に出た。 「あっ……。」 さっと出ていく彼女をただ見つめていた。
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