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「名字も名前みたいですね。」
ニッコリと本当に屈託のない笑顔で、ワタシに話しかける。
「そう?」
「初めて言われたわ。」
ほんの少し顔を眺めた。
「洋服…雨で濡れているし、洗濯しますね。」
「いいの?ありがと。」
脱ぎたての洋服を渡す。
『ピッ。』
洗濯のスイッチを押す。
洗濯機から離れて、部屋に戻ると、アナタはまだ、本棚を眺めていた。
本棚を眺めているアナタに近づく。
「色んなジャンルばかりでしょう。」
「ホラー映画に、外国の映画、ラブストーリーに、コメディー、あと舞台も。」
「それと、原作になっている本、ノベライズ本、翻訳されている本。」
「自分が好きなものしか置いていないの。」
「一番、落ち着く場所なんだ。」
ほんの少し顔が緩む。
「すごい。天国みたい。」
目を輝かせている。
自分が好きなものを否定しない人に出会ったのは初めてだった。
「本は好き?」
「映画も本も大好き。」
目を輝かせたまま、顔を合わせた。
「そう。」
「そういってくれる人…初めて。」
「え?」
「自分が好きなものを好きと言ってくれる人なんて、今までいなかったから。」
何かを思っているような眼差しだった。
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