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「ティサだって同じだよ。そりゃあ、ボクだって『ティサの言うことは極端だなぁ』って思わないわけじゃないけど。誰より強い感情を持って生きてるんだなぁって、見ていて楽しいところもあるんだよね」
「……やっぱり。あの時のあたしの直感は正しかったんだ」
ノアの言葉をしっかりと聞いて、ティサは想いを新たに、立ち上がる。トイトイの頭を撫でながら座ったままのノアを見下ろして、高らかに宣誓する。
「あたしのこれからの人生、一緒にいられる相手はノアしかいない。あたしがもっと大人になったら、あたしがノアの運命の相手だって、あんたに認めさせてやる」
自分を変える気がないティサを、今のまま、苦も無く受け止められる人間はそうそういない。だからこそ、ノアと自分の出会いは運命だったのだ。ティサはそう信じていた。あまりにも自己中心的な発想であるが、彼に対する恋心だけは真剣だった。
「ノアが実際はどんだけジジイだろうがあたしにはカンケーない。他の誰にも譲らないんだから!」
「……せっかくいい感じだったのに、どうして最後でそういう、サイテーな言葉選びしちゃうかなぁ~」
「うるっさい! あんたこそ、いつまでそこに収まってんのよ!」
ティサはトイトイを放るようにそこから引き剥がし、同じ場所に自分が収まって鼻息をふんと吹き鳴らす。うわぁん、と情けない声を漏らした後に「やれやれ」とぼやき、トイトイは今度はテラの方へ向かうのだった。苦笑しながら、テラはトイトイを招き入れた。
砂漠の国クラシニアでしばらく過ごし、改めて旅立とうとした時。
「ねえ、ティサ。もしかして、トイトイって初等教育受けてないのかな」
アブルアム家代々に渡って仕えてきたトイトイは、学校に通ったことがない。今まではそれで問題もなかったが、せっかくだからクラシニアに残り、ノアの家族に預けて一般的な教育を受けてみてはどうだろうかという話になった。
「本当に、ぼくがいなくて大丈夫? いくらそのままのティサでいいって言われてるからって、あんまりノアノアを困らせちゃだめだよ? テラテラにひどいことばかり言って悲しませないでね?」
難あり過ぎるティサの、生まれた頃から唯一、そばにいられた友人との別れ。双方にとって名残惜しいものだった。けれどお互いの未来のために、一時の別れを選ぶことにした。
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