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「あーちゃん。ここにいたのね!」
その瞬間、後ろから大きな声がした。振り向くと、駅ではぐれた両親が私の方に向かって走ってきていた。
「お父さん! お母さん!」
私は足湯カフェを飛び出て、両親の元へと走り出した。
「あーちゃん、心配したんだぞ」
お父さんに手を掴まれ、お母さんにぎゅっと抱きしめられる。
「心配かけてごめんなさい。怖かったよ。凄く怖かった」
私は、お母さんの温もりに身体を委ねた。
「お母さんたちこそ、目を離してしまって本当にごめんね」
「ううん。でも、どうしてこの場所が分かったの?」
「お友達が、あーちゃんは駅前の足湯カフェにいるって連絡をくれたのよ。無事で良かったわ」
そう言って身体を離したお母さんは、私の両肩をそっと掴みながらこう続けた。
「だけど、足湯カフェなんてどこにあるの?」
「え? 私のすぐ後ろに……」
恐る恐る足湯カフェがあった場所を振り返ると、そこには砂地と小さな迎え火が焚かれているのみだった。
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