あの日のミルキーウェイ

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 それは面白そうだ。このまま永遠と虫だのザリガニだのに付き合わされるよりは百倍は楽しいだろう。  かくして私たちの探偵ごっこが始まった。 「コードネームを決めよう。俺はレッド、お前はブルーだ」 「探偵にコードネームっているの?」 「当たり前だ。俺たちエージェントの正体がバレたらどうするんだ!」  健太は興奮しきった調子でいっているけれど、たぶん探偵とスパイがごっちゃになっている気がする。私もそこまで探偵ものやスパイものに詳しくはないけれど、何かが微妙に違うのだけは分かる。 「エージェント・ブルー。ターゲットを捕捉。角を曲がったぞ!」  探偵になりきった健太は、電柱や物陰に隠れながら尾行を始める。私もそのあとを追う。 「健太く──エージェント・レッド。後方から敵の見張りが来ます!」 「ラジャー。一般人に紛れる。そちらも気をつけられたし」
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