あの日のミルキーウェイ

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「マルちゃん、遅い遅い! ほら行くぞ!」  家の前で待っていた健太は私を見つけるなり、早くこっちに来いと呼び寄せるように手を振る。彼はせっかちな性分なのだろうか。 「まずはこっちだ。ついて来い」  健太に連れられてやって来たのは学校だった。それも私が通っている小学校とは違い、なんだか小さい。よく見ると校舎が二階までしかない。 「ここが俺が通っている小学校。どうだ、東京の学校よりすごいか?」 「う、うん。ある意味、東京にはこんな学校ないよね」  こんなしょぼくれた校舎だったら全校生徒が収まりきれないだろう。ある意味、東京にはない校舎だ。嘘は言っていない。 「そうか! 東京にはないか!」  気を良くしたらしい健太は私の背中をバンバンと叩いた。こいつはもしかしたら単純な奴なのかもしれない。 「そうだ、紹介したい奴がいるんだ」  健太はそういうと、私を校舎の裏手へと連れていった。友達でも紹介されるんだろうか?
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