あの日のミルキーウェイ

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 少しばかり緊張する。上手く話せればいいけれど。私は友達の友達と話すあの微妙な空気感があまり好きではない。友達本人からしてみれば両方とも知っている人だからいいが、こちらからすると、友達の友達なんて他人だ。知らない人だ。そんな人と楽しく話せと言うのも無理のある話だと思う。それは向こうも同じだ。だから相手の出方を窺うように当たり障りのない、ぎこちない会話をするしかないのだ。  とりあえずは自己紹介をして、それからこの町を褒めよう。地元を褒められて嫌な気分になる人はそうそういない。これでしばらくの会話はもつはずだ。付け焼き刃だが、これで微妙な空気は少しは軽減されるはず。  校舎の裏手には誰もいなかった。かわりにあたりは緑に溢れていた。茂みがもっさりとあり、その奥にはちょっとした森が見える。ほんと、この町には木が多い。家と畑以外は全て森か林だ。私の地元では考えられないほどの自然がそこにある。 「それで紹介したい奴っていうのは?」 「ああ、ちょっと待ってろ」
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